健康診断結果、放っておいてませんか?

 「要再検査」「要精密検査」「要医療」など有所見と判定された労働者に対して、事業者は、「二次健康診断の対象となる労働者を把握し、当該労働者に対して、二次健康診断の受診を勧奨するとともに、診断区分に関する医師の判定を受けた当該二次健康診断の結果を事業者に提出するよう働きかけることが適当である」とされています(厚生労働省「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」)。二次検査を受けさせることは企業の義務ではありませんが、受診勧奨をしなかったために企業が安全配慮義務違反に問われた事件もあり、注意を要します。

 病気が重症化する前に医療機関を受診すれば、労働者の健康リスクは低減されます。労働者に、健康に長い間働き続けてもらうことができれば、企業の生産性向上、ひいては業績向上にもつながるでしょう。

 

 近時は個人情報保護やプライバシーの観点から受診勧奨を行わない企業も多いようですが、ぜひ積極的に行いたいものです。

◆受診勧奨の方法◆

口頭で医療機関の受診を促すこともありますが、受診勧奨は、一般的には文書で行うことが多いようです。受診勧奨を行っても、労働者が受診しないということも考えられます。安全配慮義務の観点からは、万一に備え、企業が義務履行のために最善を尽くしていたという証拠を残しておくことが大切です。

受診勧奨文書の例がウェブサイト等で公開されていますので、参考にして作成するとよいでしょう。

 

労災保険 二次健康診断等給付

 二次健康診断等給付は、一次健康診断の結果において、

  1.血圧検査       

  2.血中脂質検査 

  3.血糖検査       

  4.腹囲の検査又はBMI(肥満度)の測定    

のすべての検査について異常の所見があると診断された場合に受けることができます。

 

 ただし、労災保険制度に特別加入されている方及び既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有している方は対象外となります。

 なお、二次健康診断が受けられる病院は指定されています。病院での支払いは発生せず健診を受ける(現物)ことができます。