同一労働・同一賃金を巡る裁判

①<4/20 最高裁での弁論>長澤運輸事件 

 運送会社の社員が定年退職した後、同社に有期雇用の嘱託社員として再雇用されました。正社員のときと同じ仕事内容にもかかわらず、賃金を2~3割引き下げられたとして、提訴したもの。

 

 一審の東京地裁は、「仕事の内容は正社員と同一。特別な理由もなく、賃金格差があるのは違法」と判断し、会社側に対して正社員と同じ賃金を支払うよう命じた。 

  二審の東京高裁では、「定年後の再雇用において、一定程度賃金を引き下げることは広く行われており、社会的にも容認されていると考えられる」などとして、同法に違反しないと判断。原告(社員ら)が逆転敗訴。 

 

②<4/23 最高裁での弁論>ハマキョウレックス事件 

 運送会社の契約社員が、正社員と同じ内容の仕事をしているのに手当などに格差があるのは不合理だと提訴したもの。

 

 一審の大津地裁は、通勤手当の差額分のみ不合理とした。 

 二審の大阪高裁では、無事故手当や作業手当なども不合理と認定し、会社側に約75万円の支払いを命じた。

③<4/25 松山地裁の判決> 

 正社員と同じ業務なのに、手当や賞与に格差があるのは労働契約法違反だとして、松山市の「井関農機」の子会社2社の契約社員5人が計約1,450万円の支払いなどを求めた訴訟の判決が松山地裁でありました。判決では、手当の不支給は違法と判断。賞与については違法性を否定。

 

 ①、②については6月1日に正社員と非正規社員の待遇格差をめぐって、最高裁が初の判断を示すことになります。

 

 正社員と非正規社員の待遇格差を是正する「同一労働同一賃金」は、「働き方改革関連法案」の柱のひとつ。これから示されることになる最高裁の判決が影響を及ぼすかもしれません。

企業への影響も大きい判決となりそうなので、要注目です。